経営課題

会社の主要取引先である建設業界は、国内建設投資の増減に左右され、建設投資は国内景気によって大きく影響を受けます。そのような事業環境においては、積極的な受注活動による案件の獲得が至上とされる風潮があり、当社グループもその状況下にありました。一方で、海外紛争やサプライチェーンの断裂、原油エネルギー価格の高騰、日本国内においては数十年ぶりの円安水準となり、急激な物価高騰、業界においては、建設資材コストの上昇、さらには生産年齢人口の減少、インフレ対応の政府政策として賃上げが促され、人件費の高騰による人材確保もままならず、事業会社において従来以上に経営リソースを割かれる機会が増えてまいりました。このような環境下において、当社グループは、景気動向・建設投資額の増減に左右されやすい、言わばフロー型となった従来のビジネスモデルから脱却し、着実・安定的に収益を確保できるストックビジネスへのトランスフォームに取り組んでまいりました。当社グループが掲げるストックビジネスは、当業界では画期的なプラットフォームビジネスです。

当社グループが提供するタカミヤプラットフォームは、「儲かる」「助かる」そして「喜ばれる」魅力的なサービスへと磨き上げられ、多くの方から選ばれ、相互に収益を拡大、発展成長をもたらします。タカミヤプラットフォームは、当社グループの働き方が根本的に変わる、DXを取り込んだ新しい業務スタイルによって従業員や関係取引先、さらには株主・投資家からも選ばれ、共に発展していける業界に欠かすことができない「エコシステム」となることを目指しております。

OPE-MANE利用者の拡大

プラットフォームの主力サービスである「OPE-MANE」は、プラットフォームの基礎となる顧客基盤を確保する重要な役割を担っています。この利用者を中心に、その他のサービス利用が促進されるため、土台となるOPE-MANE利用者の獲得は重要な課題として認識し、利用者拡大を推進いたします。

顧客サービスの基幹となる管理物流機能の整備・拡充

OPE-MANE利用者の利便性を担保するうえで、預り資産の管理運用はサービスの中核を担っています。時間経過と共に増加する預り資産、不足機材を補う賃貸資産の保有増に対応するため、資産を効率よく稼働させる整備体制、利便性を高める好立地へのBase(機材管理物流拠点)の開設は、プラットフォームの魅力を高めるうえで重要であると認識しております。

顧客の信頼獲得のための安全・安心の可視化

プラットフォームで預かる資産(仮設機材)は、利用者の所有物であり、それらの減価減耗は、顧客の損失になると同時に当社グループへの信頼の失墜につながります。ゆえに預り資産の管理を透明化し、所有者が常に状態を把握できるよう可視化に努めることは、プラットフォームでの顧客資産の保全並びに信頼獲得に寄与いたします。また、ここでの取り組みが当社グループの生産性向上につながります。

適正価格による付加価値サービスの提供

従来仮設機材業界において、安全性や品質について多くを求めず、兎角、サービスの無償提供や価格競争に陥りがちでした。当社グループは、足場の階高を高めることで安全、効率的に作業できる作業用足場を提供し、また、仮設工業会認定以上の品質基準をもって機材の提供を行っています。また、一部義務化されている3D図面の自動生成など高付加価値サービスを提供することで、顧客が納得のいくサービスを提供し、その対価を適正価格にて供給することが業界の質的発展に寄与するものと認識しております。適正価格での提供は、顧客満足度をさらに高めるサービス開発に寄与するものとして、顧客の理解を得ながら継続して取り組んでまいります。

海外拠点(フィリピン、韓国、ベトナム)の収益向上と、その他需要国への対応

国内建設市場は、労働者不足などの影響で建設会社が選別受注し、工事量が平準化されつつあります。当社グループは、この状況下でプラットフォームにより安定収益を得るとの方針のもと事業を進めております。一方、海外において収益拡大を計ることも進めております。諸外国では、不安定な社会情勢や大規模災害、新興国での開発など当社グループとしては手つかずの市場があり、それら需要を収益化するための体制の整備が必要と認識しております。

アグリ事業の抜本的な変革による収益基盤の構築

仮設以外の事業部門の育成として、農業分野へ進出いたしました。新型コロナウイルス拡大の影響等で就労者不足となった農業は、厳しい環境に置かれています。一方で、食糧自給率を高めようとの政府の政策やアグリビジネスベンチャーの台頭により、生産性の高い高付加価値農業が広がっています。当社グループは、これらベンチャー企業等との連携によって、事業拡大を目指し、埼玉県羽生市にTAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(以下、「TAP」という。)を開設いたしました。多くの企業を招き、TAPにて先端農業の取り組みを発信することで、当社ブランド製品や参画企業の製品の周知拡販を目指します。

付加価値向上のための人的資本、DXへの積極投資

当社グループでは、DXによりプラットフォームの高付加価値化に努めています。この高付加価値を生み出すDX・IT人材に対しての投資を積極的に行います。初任給の改定、フレックスタイム制の導入やみなし残業時間の段階的な見直し、教育研修への積極的な投資を実施することで、従業員とのエンゲージメントを高めます。加えて、DX投資により業務改革や顧客サービスの付加価値向上を目指してまいります。

WACCを上回るROICを実現するためのKPI導入

当社グループの過年度におけるROICは、WACCを下回っております。資本効率の改善、株主・投資家からの期待に応えるため、ROIC改善は重要課題であると認識しております。ROIC改善のため、当社グループ各社、各部門において、営業利益率と投下資本回転率を向上させる施策を検討し、各施策にKPIを設定してROIC経営の浸透と数値改善を目指します。