健全な財務規律のもと
プラットフォームへの積極投資を通じて
中期経営計画の実効性向上を図っていきます
経営戦略本部長との緊密な連携により経営基盤のさらなる高度化を追求
私は経営管理本部長として、人事、総務、経理、安全管理の4つの部門を管掌しています。職務の遂行にあたって特に留意しているのは、経営戦略部本部長である安田常務執行役員と緊密な連携を維持しつつ、当社の経営におけるそれぞれの役割と機能をしっかりと分担していくことです。経営戦略は攻め、経営管理は守りに例えられることも多いのですが、実際はきれいに分割できるものではありません。戦略と管理の双方において、攻めと守りの二つの視点で適切な方針と施策を立案・実行し、「中期経営計画2024-2026」の実効性を高めていくことが、私たちの大切な任務だと考えています。
すべての社員が自ら考え、行動する自律的な企業文化を構築する
タカミヤは現在、2027年3月期までの3年間を対象とする「中期経営計画2024-2026」の進捗に経営資源を集中しています。本中計で掲げた諸目標を達成するためには何よりも、当社の成長の担い手である人材の育成・活用が欠かせません。当社ではこうした基本認識に基づき、重層的な教育研修システムや社員のモチベーションを高めるインセンティブの導入、若手人材の積極登用とマネジメント能力の向上など、人的基盤の強化に向けた様々な取り組みを進めています。またオフィスの役割を「憩いの場」として、人が集まることで、コミュニケーションが円滑になり、切磋琢磨することによって、新しいアイデアを生み出し、自己実現を図る場と捉え、継続的なオフィス改革を通じて、働きやすい職場環境の形成に努めています。こうした取り組みが奏功し、若手社員を中心に当社の変革に対する前向きな姿勢が芽生えてきたことを新たな変化として高く評価しています。
新卒採用とキャリア採用のバランスをとることで人材の多様性を担保するなど、ダイバーシティの取り組みにも注力しています。引き続き女性社員の活躍支援や積極登用を加速し、他のプライム企業と比較してやや低水準にある女性取締役比率、女性管理職比率の向上を図っていく考えです。
私たちの目標は、社員一人ひとりがそれぞれの職務やキャリアを自分自身の手で選び取り、切り拓いていく自律的な組織文化を確立することです。自発的に考え、行動する、つまり「自走」することで、仕事に対する責任感が生まれてくる。経営管理本部は働き方の選択肢を豊富に用意することで、社員はもとより、入社志願者を含めたより多くの人びとに注目される魅力的な存在を目指していきます。
資金調達の最適化を図りながら、プラットフォームを基軸とした成長投資を実行
次に、中期経営計画の推進基盤である財務・経理の基本方針についてご説明します。本中計では、プラットフォームの拡大へ向けて、賃貸資産やTakamiya Lab./Base、人的資本関連に加えて、DX領域に積極的に資金を投入していきます。3年間で総額357億円の大規模投資を予定しており、健全な財務規律を堅持しながら、投資資金を適切に調達していくことがますます重要な経営課題となっています。前中計の期間に関しても、プラットフォームの基盤構築へ向けた投資を着実に実行してきました。その際、必要となる資金は主に金融機関からの借り入れによって調達しましたが、この度の中計では、間接金融による調達だけでなく、アセットファイナンスやエクイティファイナンスの活用はもちろんのこと、プラットフォームを構築した当社だからこそできる新たなファイナンスを模索しながら、調達方法の多様化と強固な財務基盤の維持に努めていきます。
株主様への利益還元も重要な財務命題の一つです。従来通り、安定的かつ継続的な配当を実施する一方、戦略的な将来投資を通じてEPSの拡大を図り、株主価値の最大化を目指していきます。また当社の実態を反映した適正な市場評価を獲得することにより、PBRとROICの継続的な向上にも注力していく方針です。
60周年、70周年のその先へ ̶進化し続ける企業グループを目指して
2024年9月、タカミヤは、新たな研究・開発拠点として「Takamiya Lab. West」をグランドオープンさせました。また、2024年3月には関東エリアに「Takamiya Lab.East」の建設予定地も取得しております。「Takamiya Lab.」では、様々な建設課題の解決に寄与するソリューションの開発に加え、仮設機材の安全基準の設定など、タカミヤプラットフォームの利便性と安全性に関わる幅広い研究・検証活動を推進しています。
このような環境下で、世界的なインフレによる原料・資材価格の高騰や国内建設業における人手不足など、当社の事業環境は依然として先行き不透明な状況で推移しています。中でも私が重視しているのは金利の動きです。有利子負債に占める固定金利と変動金利の割合をほぼ均等に保つなど、金利リスクに対する備えは講じているものの、経済金融動向の先行きは予断を許しません。外部環境の変化を注視しながら、機動的な財務戦略を遂行していくことが肝要だと認識しています。
私たちはこれからも、社是・経営理念である「愛」をすべての企業活動において具現化し、60周年、70周年、そしてその先へ、進化し続ける企業グループを創造していきます。
2024年11月
取締役 執行役員 経営管理本部長
辰見 知哉