経営戦略本部長メッセージ

投資-回収サイクルの最適化を図りつつ中期経営計画において、
プラットフォームビジネスの早期の市場浸透を目指していきます

会社のビジョンと方針を言語化し、数値化した「中期経営計画2024-2026」

 私は経営戦略本部長として、経営企画、広報・IR、情報システム、法務・コンプライアンス、不動産管理、アグリ事業の6部門を統括しています。また、リスクコンプライアンス委員会や情報セキュリティ委員会で委員長を務めています。タカミヤの成長戦略を牽引するという「攻め」の機能と、リスクや情報をコントロールするという「守り」の機能、その双方を担っているという点で、困難ながらも重要度の高い職責だと自認しています。
 「中期経営計画2024-2026」の策定においては、経営戦略本部に置かれている経営企画室が主導的な役割を果たしました。計画を立案する際に最も重視したことは、会社のビジョンや方針をどのように言語化し、数値化して具体的な計画に落とし込み、社内に浸透させていくかということでした。経営計画は実現可能で、同時にチャレンジングなものでなくてはなりません。最終年度の定量目標もただ期待する数字を掲げれば済むというものではなく、目標が達成された際の株価や時価総額などを予測しながら、長期の成長シナリオに沿って数値を設定する必要があります。ただ、前中計で基盤を整えたタカミヤプラットフォームのさらなる拡大と市場浸透を図るという基本方針は常に一貫しています。課題は顧客へのプラットフォーム浸透のブレイクスルーがいつ起きるかということ。1年後なのか2年後なのか、事業が急拡大するための諸条件が出揃う時期を想定しつつ、事業展開のプロセスとスピードを調整していくことが必要です。

前中計では、新ビジネスに対する社員の理解と共感の喚起に成功

 当社は「2021中期経営計画」の3年間において、プラットフォームビジネスの基盤整備に成功しました。またプロジェクトの推進に向けて各種の分科会を組織し、プラットフォームビジネスに対する社員の理解と共感を喚起するよう努めました。新しいビジネスモデルを構築し、しっかりと稼働させていくためには、社員の意識改革が不可欠です。幸い、タカミヤプラットフォームに対する理解が促進され、同時にタカミヤがストック型ビジネスに転換することの意義についても社員間で共通認識を持つことができました。新中計の初年度が中間点を越えたいま、過去3年半の蓄積が今後の展開をリードする大きな力になるものと信じています。

プラットフォームビジネスの拡充に向けて取り組むべき4つの課題

 タカミヤプラットフォームの構築と拡大に向けた取り組みは順調に進捗していますが、対応を強化すべき課題も少なくありません。第1の課題はプラットフォームサービスの提供に向けた基盤の整備です。現在は全国29ヵ所の機材Baseを拠点に事業を行っていますが、増大するユーザーそれぞれに最善のソリューションを提供するためサービスインフラの拡充を進めていきます。
 第2の課題は、新たなビジネスモデルに対応する「投資-回収のサイクル」を確立することです。インフラ整備に多額の先行投資を要するプラットフォームビジネスでは、適正な投資規模も回収時期も見えにくいのが実状です。仮設市場の状況やユーザーの動向を注視しながら、適切な投資戦略を実行していくことが肝要だと考えています。
 第3の課題は、DXの加速です。社員のITリテラシーの向上やデジタル技術を活用したサービスの高付加価値化を通じて「DXの戦略化」を図っていきます。また、DXの目的はサービスの高付加価値化にとどまらず、省力化・省人化を通じた生産性の向上、IT人材の積極採用による人的資本の拡充など、様々な効果が期待できる全社的な取り組みです。やはり、当社グループが今後、さらなる成長を追求していくにあたり、DXは最優先で取り組むべき経営課題です。
そして第4の課題が次代を託す人材の育成です。プラットフォームビジネスの担い手として、自由な発想と柔軟な思考を持った若手人材の育成・登用に注力していきます。

資本コストと市場評価(株価)を意識した経営を実践する

 タカミヤプラットフォームの始動により、当社は新たな成長ステージを迎えました。本中計では、対象期間の3年間に、賃貸資産に172億円、プラットフォームインフラの整備に146億円、DX・人的資本関係で39億円、合わせて357億円の新規投資を実行する計画です。また成長投資の効力を正確に測定するために、本中計ではROIC(投下資本利益率)4.3%以上を達成すべき財務指標に定めました。また、収益改善と資産効率改善に向けて、各部でKPIを設定し、達成に向けた取り組みを進めております。資本の効率性を追求するROIC経営を貫徹することにより、お客様の利便性向上と企業価値の拡大を両立させていきます。
 タカミヤのPBRは現在、1.0倍前後で推移しており、危険水域である1倍割れに近い状態です。しかし、この数値が当社の実態を正しく反映したものとは考えていません。中期経営計画で掲げた重点施策を着実に遂行するとともに、既存事業の見直しと再構築に取り組み、市場評価の一層の向上を目指していきます。また当社の基本戦略と各種施策の進捗・成果を広く社会に発信し、プラットフォーマーとしての認知度をさらに高めていきたいと考えています。
 タカミヤの挑戦はまだ始まったばかりです。私はタカミヤの経営戦略を預かる者として、無限の可能性を秘めたプラットフォームビジネスの進化を図り、当社グループが提供する社会価値・経済価値の継続的な拡大を追求していきます。

2024年11月
取締役 常務執行役員 経営戦略本部長
安田 秀樹