経営戦略本部長メッセージ

経営管理本部との役割分担と、
中期経営計画で注力する課題・領域について

 私は経営戦略本部長として、経営企画、情報システム、法務・コンプライアンス、不動産管理、アグリ事業を統括し、成長戦略を推進する「攻め」と、リスクや情報を統制する「守り」の両面を担っています。一方、経営管理本部は人事、総務、経理、安全管理を管掌し、人的基盤・財務基盤・統制基盤の整備を担っています。ただし、両本部の関係は単純な役割分担ではありません。戦略も管理も、攻めと守りの双方の視点を持たなければ実効性は高まりません。だからこそ、両本部が緊密に連携し、中期経営計画の実行力を高めることが何より重要だと考えています。
 「中期経営計画2024-2026」において、私たちが特に注力しているのは、第一にプラットフォームサービス提供に向けた基盤整備、第二に新たなビジネスモデルに対応した「投資―回収のサイクル」の確立、第三にDXの加速、第四に次代を託す人材の育成です。全国29ヵ所のBaseを活用しながら、顧客接点・サービスインフラ・デジタル基盤を一体で整備し、単なる機材供給企業ではなく、業界全体の生産性を高めるプラットフォーマーへと進化することが当本部の使命です。経営管理本部とは、投資規律、人材配置、制度設計、内部統制の各面で連携し、成長投資を持続可能な形で実装していきます。

2025年3月期の成果と課題について

 2025年3月期は、将来の成長に向けた先行投資を着実に進めた一年でした。連結売上高は438億27百万円、営業利益は20億61百万円となり、利益面では減益となりましたが、プラットフォーム事業は売上高51億84百万円、営業利益12億5百万円と大きく伸長し、ストック型ビジネスへの転換が前進しました。とりわけ「OPE-MANE」の普及を通じて、顧客の調達行動が「購入」から「利用・循環」に変わり始めたことは、今後の収益構造を変える重要な成果です。一方で、人的資本、ITインフラ、ソリューション開発への先行投資が販管費を押し上げ、利益を圧迫しました。
 前期に掲げた重点課題については、基盤整備とDX、人材投資は着実に進展した一方、投資回収のスピードには課題が残りました。「OPE-MANE」の浸透は進んだものの、2024年問題による人手不足、大型案件の着工遅延、建設コスト上昇に対する価格転嫁の遅れなどが重なり、当初想定した収益化ペースには届きませんでした。その結果、中期経営計画の最終年度目標は見直しを行いましたが、プラットフォーム戦略そのものを後退させるものではありません。むしろ、外部環境に左右されにくい収益基盤を築く必要性が、より鮮明になったと受け止めています。

資本コストと市場評価を意識した経営について

 資本コストと市場評価を意識した経営の観点では、改善は道半ばです。プラットフォーム事業の利益率は向上し、事業ポートフォリオの質は変わり始めていますが、全社では先行投資負担が大きく、ROEは低下し、ROICもなお資本コストを下回る水準にあります。PBRも1倍を下回る状態が続いており、市場は当社の将来性に一定の期待を寄せつつも、その期待を確信に変えるだけの収益力と再現性を求めていると理解しています。つまり、株価は将来戦略への期待と、足元の実行力への厳しい評価の双方を映しているのです。
 そのため、私たちはROIC経営を単なる財務目標ではなく、投資判断と事業運営の共通言語として浸透させていきます。営業利益率の改善と投下資本回転率の向上を両輪とし、投資案件ごとの優先順位、在庫水準の最適化、回収期間の見極めを徹底します。また、2024年11月には、配当政策を変更しました。当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要政策の一つと位置づけ、原則として減配はせずに、配当の維持もしくは増配を行ってきました。この実績を継続していくことを明確にするため、累進配当を導入することとしました。当社事業の持続的な利益成長を通じて、実績に合わせて株主還元をさらに充実させていくことが重要と考えています。資本市場との対話を深めながら、事業成長と資本効率、還元のバランスをとっていく考えです。PBR改善の本質は、短期的な施策ではなく、「この会社は投下資本を利益に変え続けられる」という信頼を積み上げることにあります。

2026年3月期の取り組みの方向性について

 2026年3月期は、これまで進めてきた先行投資を「成果の見える化」と「回収の加速」につなげる一年にしたいと考えています。特に重点を置くのは、プラットフォーム事業の収益化加速、投資規律の徹底、そしてDXの実装深化です。「OPE-MANE」を軸に、顧客の業務フローそのものに入り込み、機材提供にとどまらない課題解決型サービスを広げることで、リカーリング収益を積み上げていきます。同時に、投資は量より質を重視し、案件ごとの収益性と資本効率をこれまで以上に厳しく見極めます。成長投資を継続しつつ、利益成長と資産効率改善を両立させることが、来期の最重要テーマです。

ステークホルダーへのメッセージ

 タカミヤグループに期待していただきたいのは、仮設業界の課題を自社だけで抱え込むのではなく、業界全体で資産・情報・機能をつなぐことで、新しい価値を生み出していく力です。私たちは、建設現場の安全性、生産性、環境負荷低減に資するプラットフォームを磨き上げることで、お客様、協力会社、株主・投資家、地域社会、そして従業員に対して、より持続可能な成長の果実を還元していきます。その実現には、一方通行の情報発信ではなく、対話と共創が不可欠です。今後も、IR面談や説明会はもちろん、事業現場を通じた顧客との対話、従業員との双方向コミュニケーションを重ね、皆様とともにタカミヤの次の成長曲線を描いていきたいと考えています。


 

2025年12月
取締役 常務執行役員 経営戦略本部長
安田 秀樹