社会

基本的な考え方

当社は、社是である「愛」のもと「人材が企業力の本質である」という人本主義を経営哲学として掲げ、人材は極めて重要な資産と認識し、持続的な企業価値向上を実現するための源泉と考えております。従業員一人ひとりが高いモチベーションを維持し、向上心を持って高い目標にチャレンジすることで、企業の持続的成長が実現可能となります。そのために企業は、従業員が高いパフォーマンスを発揮できるよう個々の能力やキャリア開発の場を提供し、自己実現をサポートする様々な支援をすること、そして公正で納得性の高い人事制度、処遇を整備していくことが基本であると考えています。

ダイバーシティ&インクルージョン

当社では年齢・性別・国籍・障がいの有無などにかかわらず、多様な人材を登用し、強みや個性・能力を最大限に発揮できる機会・環境を整備しています。働きやすさ、働きがいを追求し、エンゲージメントを向上させることで持続的な企業価値の向上を目指します。

多様な人材の活躍推進

女性並びに外国人の管理職比率の向上

多様性を表す指標である女性および外国人の管理職比率は2024年3月末時点で1.3%であり、当社を含め、業界の大きな課題と認識しています。当社では、今後この比率を高めていくため、女性および外国人の総合職を採用し、管理職候補となる母集団を拡大するとともに、まずは将来の管理職候補者たる「係長」の裾野を拡大しています。2023年3月末時点では女性および外国人の係長人数は7名で、全体を占める割合は9.6%でしたが、1年間で4名増加したことで、13.8%まで上昇しました。管理職人数、係長人数ともに、長期目標の達成はできておりませんが、今後も継続して、長期的目標の早期達成に向け、女性および外国人管理職の育成・登用を推進します。

2022年3月 2023年3月 2024年3月 長期目標
女性・外国人管理職人数
(同比率)
2人
(1.4%)
2人
(1.3%)
2人
(1.3%)
(10.0%)
女性・外国人係長人数
(同比率)
4人
(5.3%)
7人
(9.6%)
11人
(13.8%)
(20.0%)
女性・外国人総合職採用人数
(同比率)
5人
(23.8%)
7人
(19.4%)
7人
(38.9%)
(30.0%)

障がい者雇用

当社の2024年3月末における障がい者雇用率は2.00%となっており、法定雇用率の2.3%を下回っています。当社は法定雇用率の充足を目指し、採用活動を継続しています。群馬工場では地域貢献を目的に障がい者雇用を促進しており、群馬県の特別支援学校で在校生への企業実習、桐生市では障がい者就労支援を目的とした会社説明会も実施しています。当社は今後も、地域の皆様とともに障がい者雇用に取り組みます。

産前産後休業・育児休業・育児短縮勤務

当社では多様な働き方の実現に向けて、産前産後休業(以下、産休)・育児休業(以下、育休)の制度の拡充、取得しやすい環境づくりを進めています。2022年3月期に当社で初めて男性社員が育休を取得し、2022年3月期には1名であった男性社員の取得数も2024年3月期には5名に増加しています。また、過去5年間の産休・育休取得後の復職率は80%であり、育児時間短縮勤務も可能なため、復職しやすい環境づくりが進んでいます。

報酬体系

当社では、通常賞与とは異なるインセンティブ制度を導入しています。社員一人ひとりが自身で設定した目標の達成度合いに応じて、インセンティブを支給します。2023年3月期より、社内のDX推進を加速させることを目的としたDXインセンティブ制度を開始しており、目標に対する取り組みへの評価でインセンティブを支給します。さらに、2025年3月期より、新卒採用における初任給の改定を実施します。物価高の上昇や採用市場における優位性、相場を勘案しての実施となります。また、今回の改定をきっかけに全社的に給与体系の改善を進めます。

職種コース変更

職種コース変更自発的・自律的なキャリア形成の推進を目的として、2年に1回、専任事務職から総合職へのコース変更を実施しています。これまで専任事務職であった女性社員が、希望することで活躍の場を広げることができます。社員が自身のキャリアプランやライフプランに合わせて、勤務の形態や場所、職種コースなどを自由に選択できるようになり、社員の新たな挑戦を後押しします。

研修制度

当社では、社員のステージに応じた各種の研修を実施しています。新任管理職研修はもちろん、若手社員へ向けたフォローアップ研修を実施しています。そのほかにも専門知識の習得を目的とした研修があり、社内外の人材が講師を務めています。情報システム室ではDX推進のもとで、情報セキュリティを徹底するための研修を実施しており、法務・コンプライアンス室では、業界や日常業務に関連したコンプライアンス違反の撲滅を徹底するための研修を実施しています。そのほかにも、マーケティングやデータドリブン研修等を実施することで、能力の向上、エンゲージメントの向上に努めています。

スキルアッププロジェクト

1年目から5年目の社員を対象に、基礎的なビジネススキルの習得から社内制度や事業理解を促進するための研修を実施しています。当プロジェクトは研修参加者と年代の近い若手社員が企画しており、必要に応じて、外部講師を招くなど、若手に必要なスキルの向上を目指しています。最終的には、事業計画を作成し、経営陣へ向けてプレゼンテーションをしており、早いタイミングで経営や管理、事業開発など、様々な経験をすることで、知識の習得が可能になります。

分科会

2023年3月期より、プラットフォームの利便性や安全性の向上を促進するために、分科会を立ち上げました。各分科会は事業本部長が監督し、実務を行うリーダーのもとでプロジェクトが進行されます。メンバーには若手社員が多く起用されているだけでなく、部署を横断して構成されているため、ボトムアップでの意見を募ることができ、多様な観点でアイデアの創出が可能になります。分科会ごとに設定された目的の達成のため、必要に応じて、ほかの分科会との連携、メンバーの補充なども行います。また、随時進捗状況などを公開することで、社内の参加希望を募ります。2024年3月末時点では17※の分科会があり、既存のサービスやシステムのブラッシュアップ、新規サービスの開発、「Takamiya Lab. West」の活用、プラットフォームビジネスの普及など、様々な観点からプロジェクトを推進しています。

持株会奨励金制度

当社は2021年4月より、従業員持株会における当社株式の購入奨励金を従来の5%から10%に引き上げました。当社では、従業員持株会への加入により社員の資産形成をサポートするとともに、当社株式の保有を通じてオーナーシップの向上を図っています。社員と企業がベクトルを同じくすることは、個人の価値観の尊重と企業価値向上の双方にとって重要なことです。当社は、企業の成果が社員の幸福感につながるよう、各種施策を推進しています。

多様な働き方の実現

オフィス改革

プラットフォームの推進のためには、従来の考え方にとらわれない環境が必要になります。新型コロナウイルス感染症の拡大以降に加速度的に普及したリモートワークは、通勤に関連する負担がなく、フレキシブルな勤務にも対応しやすい半面、業務上の相談やコミュニケーション不足、プライベートと仕事の切り替えの難しさや、自宅の滞在時間が大幅に増えるため環境変化がないなど、ストレスを感じる機会が増加するという課題が見つかり、オフィスの存在意義を問い直すきっかけになりました。オフィスには、今まで以上にコミュニケーションや休息のプラットフォームという機能が必要と考えています。当社はオフィスのコンセプトを「憩いの場・癒しの場」として、リニューアルを進めています。リモートワークで不足する社員同士のコミュニケーションを活性化すべく、オープンスペースや、カフェ、ソファリビングなどのリフレッシュスペースの割合を広げ、執務室を最小限にしています。フリーアドレス制に加え、フレックスタイム制を導入し、働く場所と時間を固定する要因を排除しました。また、クラウドシステムの導入、さらに全国の拠点とリモートでつながるようにモニターを複数台設置するなど、距離にとらわれず、綿密なコミュニケーションをとれる工夫を施しています。また、個人の成果を可視化し、働き方が変わっても、正当に評価できる環境をつくりました。カジュアルな意見交換ができるようにオープンスペースや和モダンな小上がりを設置し、従来の考え方にとらわれずに、柔軟な発想が生まれるオフィスとなっています。

リモートワーク&フレックスタイム制

DXを掲げ、IT環境の整備を進めていることもあり、社員は多様な働き方を実現しています。リモートワークに関しては、事務職や技術積算チームだけでなく、子育てなどのライフステージを迎える社員などが実践しています。そのほかにも、営業職の直行直帰の推進、部署単位でのフレックスタイム制を導入しており、社員が自身に合った働き方を選択できるように取り組んでいます。今後は、DXをさらに進め、業務改革を推進していきます。また、働く場所や時間を問わずにビジョンを共有でき、成果を測定できるコミュニケーションツールやプラットフォームの導入も進めていきます。

コイン制度

2022年4月より、コイン制度のテスト運用を始めました。地域や部署の繁閑差を活用した助け合いを進め、全社の生産性向上を目的とした人事制度です。DXの推進により、リモートワークなどの多様な働き方ができるようになったことで、勤務地や部署に関わらず、拠点間のサポートが容易になりました。サポートを受けた部署は相手部署に対して、報酬化することができる「コイン」を支払います。地域や時期によって繁閑差が大きい建設業界で限られたリソースで、業務負担を分散することで、残業削減はもちろん、スキル向上・業務の標準化につながります。当社の強みである「人」に着目し、企業理念である「社員同士が思い合い、常に切磋琢磨しながら成長できる環境」をつくる一つの柱になっています。また、拠点間の連携が進んだことにより、転勤や部署異動の必要がなくなるために、本人が希望しない転勤の廃止を目標に掲げています。

休暇制度

社員が継続して働きたいと思えるような環境づくりの一環として、様々な休暇制度を導入しています。リフレッシュ休暇制度は、勤続4年以上となる社員は節目となる年の誕生日から最大で4週間の休暇を取得することができる制度です。25・35・45・55歳では「リフレッシュ5」として誕生日を含む1週間が休暇となり、30・40・50・60歳では「リフレッシュ10」として誕生日からそれぞれ、1週間から4週間の休暇を取得できます。「リフレッシュ10」取得者は期間中に旅行する場合に手当も支給されます。ほかにも、結婚記念日休暇や誕生日休暇などがあります。

社内への情報発信

社員が、当社の事業や取り組みへの理解を促進するために3種類の社内報を公開しています。1つ目が、プラットフォームにおける取り組みなど、事業内容にフォーカスした情報誌「Compass」、2つ目が新入社員紹介などを中心としたカジュアルな情報誌「こんぱす」でそれぞれ年間に2回ずつ刊行されます。そして、3つ目が情報をリアルタイムで発信し、社員と双方向のコミュニケーションを実現するウェブ社内報の「Compass+」です。事業発表会の様子から、社員のプライベートまで幅広く情報を発信しています。社内の情報を収集することができる場を多く設けていることにより、事業内容への理解が深まり、情報の共有がされにくい若手社員でも、積極的な発信が可能になります。多様な意見をもとに、プラットフォームのブラッシュアップを推進します。

シェア制度

プラットフォームの推進に向けては、限られたリソースの有効活用が必要不可欠です。そして、ヒトやモノ、カネに限らず、情報に関しての共有を進める必要もあります。当社では、社員間で業務効率の改善のための取り組みや業界知識等を共有する「シェア制度」があります。投稿された「シェア」はすべての社員が閲覧することができるようになっており、有用なシェアが他部署へ展開された事例が数多くあります。

社内表彰制度

2025年3月期より、プラットフォームビジネスの推進に向けて、新たな評価制度を設け、エンゲージメントの向上施策として特定の分野で活躍した社員もしくはプロジェクトチームを表彰する社内表彰制度が新設されました。表彰の基準には定量評価と上司などの推薦があり、さらに各事業本部長による推薦で決定します。表彰者には、社内プロジェクトなどで利用できる決済権限や賞金が付与されます。

安全

工事現場において、「安全第一」は基本となる考え方です。現場で使用される製品の開発製造の過程においても安全性を最優先に考慮しています。製品の開発製造段階から利用にわたる各工程で品質価値と安全性を担保し、社会生活の基盤を支えます。

安全性向上に向けた取組

独自の品質基準

仮設機材をレンタル供給するためには、厚生労働省や仮設工業会によって定められた、品質管理基準をクリアする必要があります。当社は、業界基準に準じるだけでなく、独自の品質管理基準を採用することで、安全性を確保しています。仮設業界では、足場の経年劣化に関する具体的な数値は示されておらず、真に安全性を確保し、事故を防ぐためには、経年強度を数値化することが不可欠です。当社は、実大試験器を利用した製品の耐久試験の実施、第三者機関による性能試験を定期的に行うことで、経年強度の数値化を目指します。確かなデータに基づき、安全性に優れた仮設機材を提供することで、製品に関するトラブルの発生を未然に防止することを目標に仮設機材の品質管理に努め、常にお客様に安心、安全な機材の供給を行っています。

安全施工の徹底

当社は、現場における「安全」は製品の品質と同じく重要な品質の一つと考えています。当社が担当する足場施工現場においては、当社の安全管理指標を掲げ、徹底した安全管理に基づいて「事故ゼロ」を目標に質の高い施工を提供しています。現場を巡回し、適切な施工方法の指導を行うだけでなく、ウェアラブルカメラ等を活用し、遠隔地からの現場指導も実施しています。また、安全意識向上のため、当社社員はもちろん、顧客に対して足場・安全衛生Work shopや法定教育を実施しています。実製品と映像技術を組み合わせての研修により、現実に近い環境での受講が可能となっています。足場利用における基礎知識だけではなく、専門知識の習得が可能になり、安全な工事現場づくりを支えます。 

お客様からの信頼

当社にとって、お客様からの信頼に応えることは、最も重要なテーマです。安全面や効率化、建設DXへの対応など、お客様のニーズは、日々高度化しています。これらニーズに対応するため、当社はプラットフォームからサービスを提供しています。プラットフォームをブラッシュアップし続け、お客様からの信頼に応え、選ばれる唯一の企業を目指しています。

信頼獲得の取り組み

共同製品開発

当社には、日々、製品やサービスに関するお問い合わせが寄せられています。営業部門を通じて寄せられた声は、社内関係各部署で共有し、当社の製品・サービスのブラッシュアップに活かしています。その一つに製品開発や製品改良に関するご依頼、ご相談があります。お客様のご要望を形にするため、営業部門は、お客様が開発を望む背景から、製品に求める重要なポイント、希望価格などを細かく伺い開発部門と共有し、設計に反映します。開発部門も参加し、幾度となくお客様とも協議をして、製品化を目指します。その過程において、保管や取り扱いのしやすさ、運搬時の荷姿、量産してレンタル品としての提供など、お客様への提案も並行して行っています。

機材管理の可視化

Takamiya Lab. Westに併設している機材Baseではトラックスケールを導入して、入退場時の出荷返納データを管理し、積み降ろしの間違いを低減しています。また、一般的な機材Baseより、大幅に多くの台数のカメラを設置し、員数、管理、検収、整備のエビデンスを蓄積し、人為的ミスを起こさないために、課題分析やデータ分析を行い、信頼性を高めています。顧客の機材を管理する「OPE-MANE」サービスを提供していることもあり、機材の管理整備状況はサービスの安全性を担保することになります。顧客に安心してサービスを利用していただくために、デジタル技術を駆使し、エビデンスを蓄積します。